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品確法による住宅性能表示の課題    
        
       
  住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)が施行されて1年、その定着がままならないうちに。国土交通省は中古住宅を対象にした性能表示制度の研究に着手した。この新しい制度について考える前に、現在の品確法による新築住宅の性能表示制度の現状を調べると、かなり厳しい状況になっているということである。即ち、建設される新築住宅において、性能表示を申請した割合が予想をかなり下回っているのである。先ずこの現状をどのように分析するかということから始めなくてはならない。勿論第一の原因は、この制度がPR不足で消費者にあまり知られていないということが挙げられる。このことは業界の努力と時間が解決してくれると思う。次に考えられるのはそもそも消費者はこの制度の必要性を感じていたかどうかということである。勿論欠陥住宅など消費者は住宅に品質上の不安を持っていることは確実であり、何とかその辺の不安を取り除く方法を見つけたいとは思っている。その証拠にはそういった題名の本が氾濫している事からも容易に想像がつく。しかし、欠陥住宅の問題がこの制度で解決できないのではないかということは消費者の直感で感じ取っているのではないか。それに住宅の瑕疵担保期間が10年になって、そちらのほうがより関心が高く保障期間をもっと伸ばしてくれないかという意見がある。安全や品質の保障は建築基準法が保証してくれると思っていてそれで十分だと思っているようである。より高いグレードの品質レベルを欲しいとは思っても、それは設計者や施工者が当然確保してくれるもので、消費者がわざわざ金を出して取得するものではないと感じているのであろう。現実に取得する人が少ないのだから何らかの原因があるのは間違いない。さて、これまで述べたような事が原因であるとすれば、今話題になっている中古住宅の性能表示制度は消費者にどのように受け入れられるであろうか。ここから先は全くの私見であるが、むしろ導入の順序が逆だったのではないかと思われる。もし中古住宅の性能表示制度が先にあり消費者に受け入れられて、良いものが良いと評価され経済的価値があがるという事実を見せられていれば、品質のグレードに対する意識も格段と高くなっていたであろう。21世紀が環境の世紀であり良い物を作り永く使っていくという必要性の認識が徐々に高くなっていっているから、良いものが高く評価される中古市場が形成されていけば、新築市場も良い物を作らなければというインセンティブはもっと大きくなると思う。そうは言っても中古住宅の性能表示制度が遅きに失したとは言え適正に形成される事は大変重要であり歓迎するものである。その場合、当然のことながら新築市場の住宅性能表示制度との整合性は必要であり、新築の時に高い性能のグレードを取ることが将来中古になった時の性能評価にダイレクトに繋がらなければ、両方の制度が共倒れになってしまう恐れがある。実務を担当する評価機関も当然両方の評価に携わらなくては整合性に欠けるであろう。
これは我々建設環境情報センターが主張している永く愛される建物作りに貢献する有望な方策になると思う。是非、消費者に受け入れられる制度の構築を期待している。