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エコの氾濫

 代表的なエコマークをはじめとしてエコロジーをテーマにしたマークや表示が氾濫している。出版されている本でもエコ何とかというものは大変な数にのぼる。21世紀は環境の世紀といわれるだけのことはある。しかし、色々な出版物や表示宣伝のエコロジ―の概念は点でバラバラである。省エネに関心のある団体は省エネの観点からある基準に達していればエコロジカルなものとするし、国産材の利用を考えているところは循環型と称してエコロジカルであるという。リサイクル材を扱っているところはリサイクルさえすればエコロジカルだという。耐久性が永ければ製造時にエネルギー多消費型でもエコロジカルであるという具合である。まるでエコでなくエゴである。現状では消費者はわけがわからなくなってしまう。元祖、本家入り乱れての宣伝合戦のようである。昔エコノミカルの意味でエコ商品というのがあったが、この方が多少の混乱があっても罪が軽い。こんな状況になっている一因にお役所の縦割り行政があるとの指摘もある。ここは本家本元の環境省が音頭を取ってエコロジカルとは何かということについての共通認識を作り上げていただきたい。さもないと住宅の場合でもいろいろなエコ住宅が出来てしまい、うまく宣伝したほうが勝ちという事になり消費者保護のためにも何らかの対策が必要ではないかと思われる。お役所にも問題はあるが、この問題は産業側の問題として自主的に取り組む課題でもある。  ちなみにエコロジーとは生物の相互関係及び生物と環境との相互関係を研究する科学であると同時に人間活動と自然の調和を図る学問である。言い換えれば人間もその一部であるエコシステムを如何に持続させるか、サステイナブルな社会にするかを考える学問である。従って、エコの言葉を使用する際には少なくともサステイナブルというキーワードに照らして考える必要がある.省エネルギーでもそのための断熱材が自然に帰らない化学物質であったり、環境を汚染する恐れがあればエネルギー効率を落としても天然の断熱材のほうがベターな場合もある。人体に無害な天然素材であるが耐久性が短い、またはその反対のケースのどちらが好ましいか議論はかなり難しい。エコ住宅、エコマンションなど色々な製品の集合体の場合、その複雑さは天文学的なものになる。筆者の頭ではとても考えられないという気がする。サステイナブルディベロップメントなる言葉もあるが、これまた定義はかなり難しいし、絡む要素は一軒の家どころではない。筆者にはエコもサステイナブルも簡単には定義できそうにないが、若し宣伝に使う場合は是非自分の考えているエコロジカルとはどんな概念か定義を明らかにしていただきたい。
 エコ住宅という名称ではないが、「環境共生住宅」認定制度というのがある.(財)建築環境・省エネルギー機構が認定の基準を定めている。認定の必要条件には「省エネルギー性能」「耐久性」、「立地環境への配慮」、「バリアフリー」、「室内空気質」、があり更に提案として「省エネルギー型」、「資源の高度有効利用型」、「地域適合親和型」、「健康快適安全安心型」の内二つ以上の工夫提案がされる事が認定に必要である。どの項目も、もっともなものばかりで異論はないが。この基準のままエコロジー住宅というには何かがかけているような気がする。
それは恐らくエコロジーのもっとも難しい部分、即ち他の生物との相互関係なのであろう。
これが乗り越えられなければ、簡単にエコという言葉は使わないほうが良いのかもしれない。
それくらいエコロジーというものは深くて大きな問題を投げかけているということであろう。